静の字に争うが
静かなはずなのに何故だろう。
青は丹青の色で腐敗を防ぐ力があり、古くから神明のことに使われていた。
下の月の形は丹で丹井の形。丹井は井戸状にして丹青や丹朱採っていたのでその形がある。
争は爭とも書き、爪の形の上の手と又の形の下の手で棒を取り合っている形。
金文で書かれて静の中の爭は取り合うのではなく、耒(すき)の上と下を持って祓(はら)っている形。
そしてもう一つの静は片手で三つ叉の耒を持って、祝詞を入れた口(さい)を置いた形。
また、耒を手に持つ形は力の字となり、口(さい)と合わせて加になっている。
加はもと耜(すき)を清めて生産力を高める儀礼をいった。
静は青く塗った耒を手に持って修祓する様子を表した農耕に関する字。
しずかや、やすらかな、という安寧の意味は耒を修祓する儀礼からその意が導かれている。
白川静「
字統」を参考にした。