懐風藻112
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贈壕公之遷任入京
 従三位中納言兼中務卿石上朝臣乙麻呂

余含南裔怨 君詠北征詩 詩興哀秋節 傷哉槐樹衰
弾琴顧落景 歩月誰逢稀 相望・・・以下脱字 天垂別 分後莫長違

壕公の任に遷り京に入るに贈る
 
余は含む南裔の怨 君は詠ず北征の詩 詩興秋節に哀しむ 傷ましいかな槐樹の衰へたること
琴を弾じて落景を顧み 月に歩んでたれか逢ふことまれなる 相望んで天垂に別れ 分れて後、長く違ふことなかれ

わたしは南方の辺地をさすらう不運をかこち、君は帰京の詩を口ずさんで都に帰っていく。秋の季節の哀愁は詩情を催させるが、痛ましいことに槐はすっかり衰えてしまった。琴をかなでて夕日の景に見入り、月光にぬれて友を思いながら遠く離れているが、友情を損なうことのないようにありたいものだ。
by mteisi | 2013-05-23 08:36 | 懐風藻


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