詠史
高適
尚有綈袍贈 應憐范叔寒 不知天下士 猶作布衣看
詠史 えいし
高適 こうてき
尚綈袍の贈有り 應に范叔の寒を憐れむなるべし 天下の士なるを知らず 猶布衣の看を作す
須賈はかつて罪もない范睢を憎んで、ほとんど死ぬほどの目に合わせたが、それでも久し振りに出逢って厚い綿入れの上着を贈った。それは范叔睢が貧乏くさいみすぼらしい風体をしていたのに同情したのであろう。その相手が今では天下の名士、秦国の大宰相であることも知らず、むかしの無位無官の一平民と思っていたとは、なんと人を見る目のないことではないか。