西宮秋怨
王昌齢
芙蓉不及美人粧 水殿風來珠翠香 卻恨含情掩秋(脱)扇 空懸明月待君王
西宮秋怨 せいきゆうしうゑん
王昌齢 おうしようれい
芙蓉も及ず美人の粧 水殿風來って珠翠香し 卻って恨む情を含んで秋扇を掩う 空しく明月を懸けて君王を待つ
はすの花も、この美しい人の粧いには及びもつかない。池の上にたつ御殿の風が吹き込んで、彼女の玉の髪飾りに薫じた香がゆかしくただようてくる。でも、いたましいことには、おもいをこめて、もう不用になりかけた秋の扇を顔におしあて、むなしく空にかかる明月におのが姿を照らさせつつ、もしやわが君がおいでになりはしないかと待っているとは。