十一月四日、風雨大作
陸游
僵臥孤村不自哀 尚思爲國戍輪臺 夜闌臥聽風吹雨 鐵馬氷河入夢來
十一月四日、風雨大いに作る
陸游
孤村に僵臥して自ら哀しまず 尚國の爲に輪臺を戍らんことを思ふ 夜闌にして臥して風の雨を吹くを聽けば 鐵馬氷河夢に入りて來る
わびしい村にじっと寝たきりのわが身を、あわれとは感じない。今もなお、国家のために輪台の守りをつとめたいと、念じているのだから。夜もふけて、横になりながら、風が雨を吹きつける音に耳をすましていると、氷結した黄河を軍馬の越えて行くすがたが、私の夢のなかにおとずれて来る。