養生主篇 第三
一
吾生也有涯、而知也无涯、殆已、已而爲知者殆而已矣、爲善无近名、爲惡无近刑、縁督以爲經、可以保身、可以全生、可以養親、可以盡年、
吾が生や涯あり、而して知や涯なし。涯あるを以て涯なきに随う、殆(あや)うき已(のみ)。已にして知を為す者は殆うきのみ。善を為さば刑に近づくことなからんや。督に縁りて以て経と為さば、以て身を保つべく、以て生を全うすべく、以て親を養うべく、以て年を尽くすべし。
われわれの生命は有限であるが、心の働きは無限である。有限の身で無限のことを追い求めるのは危ういことだ。それでいてなおあくせくと心を働かせる者は、身の破滅があるばかりだ。善いことにつとめれば名誉に近づくであろうし、悪いことにつとめれば刑罰に近づくであろう。[名誉も刑罰もわが身を滅ぼすもとである。だから善悪にとらわれない]中の立場に従ってそれを一定の拠りどころとしていくなら、わが身を安全に守ることができ、わが生涯を無事に過ごすことができ、わが肉体を養うことができ、わが一生をじゅうぶん長生きできるであろう。