山部宿祢赤人至伊豫温泉作歌一首 并短歌
皇神祖之 神之御言乃 敷座 國之盡 湯者霜 左波尒雖在 嶋山之 宜國跡 極此疑 伊豫能高嶺乃 射狹庭乃 𦊆尒立之而 歌思 辭思爲師 三湯之上乃 樹村乎見者 巨木毛 生繼尒家里 鳴鳥之 音毛不更 遐代尒 神左備將徃 幸行處
皇神祖の 神の命の 敷きます 國のことごと 湯はしも さはにあれども 島山の よろしき國と こごしかも 伊豫の高嶺の 射佐庭の 岡にたたして、歌思ひ 辭思はしし み湯の上に 樹群を見れば 臣の木も 生ひ継ぎにけり 鳴く鳥の 聲もかわらず 遠き世に 神さびゆかむ 幸行處
澤瀉久孝著「万葉集注釈」3より