八
子曰、可與言而不與之言、失人、不可與言而與之言、失言、知者不失人、亦不失言、
子の曰わく、与に言うべくしてこれと言わざれば、人を失う。与に言うべからずしてこれと言えば、言を失う。知者は人を失わず、亦た言を失わず。
先生がいわれた、「話しあうべきなのに話しあわないと、あいての人をとりにがす。話しあうべきでないのに話しあうと、ことばをむだにする。智の人は人をとりにがすこともなければ、またことばをむだいにすることもない。」
九
子曰、志士仁人、無求生以害仁、有殺身以成仁、
子の曰わく、志士仁人は、生を求めて以て仁を害すること無し。身を殺して以て仁を成すこと有り。
先生がいわれた、「志しのある人や仁の人は、命惜しさに仁徳を害するようなことはしない。時には命をすてても仁徳を成しとげる。」