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正とは何
正という字もとても面白い。正しいとは一体何だろう。
漢の許慎の「説文解字」では「是なり。止に従ひ、一以て止まる」とし、ちょっと解かりにくいが、白川の説明では止まるべきところで止まることを正しいとし、正義の観念が出来た後の解釈だとしている。
「字統」によると一と止からなり、甲骨、金文の形では一は囗(い)の形で、城壁に囲まれている 邑(ゆう・むら)を表わし、止は足あとの形で、都邑に向かって進軍する意でその都邑を征服することをいうのである。
また、ある字典では正は足の膝から下を表わし、膝から下のすねの部分は曲がらないので、曲がらないことが真っ直ぐで、正の意となると、甲骨や金文の形から説いている。因みに足と正は甲骨や金文では同じに書かれているので、このようなことが起こるようである。
白川の説は実に明解。正は征の初文で、正の意味が多義化したので後に征が作られ、正は征服を意味した。その征服した人々から税を徴収することを征といい、重圧を加えて負担の義務を強制することを政だという。そのような行為を正当とし、正義とするに至るという。
白川の「甲骨文の世界」には征伐に出るのに、意にかなう占いが出るまで同じことを10回も占った例があるという。神のお告げが出るまで占っているのは、大義名分を作って戦に出る現代と少しも違わないのが面白い。
正という字も字典によって様々で、応に人の世界に正が存在しないことを証明しているといえよう。正義とはなんであろうか。
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by mteisi | 2008-08-19 00:22 | 語源で遊ぶ


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