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翰墨三昧
「宙游・チュウユウ」という筆が出来上がった。中筆の瀟洒な筆で手紙を書いたり、条幅という大きな紙に大胆に筆を使って書くのも面白いだろう、というもの。
以前から取引のあった熊野の「平尾文明堂」に依頼して、魔法の筆なる自分の要求を全て満たす筆作りをやってみた。今回で3本目になる。最初は「風瓏・フウロウ」で2本目が「聚・シュウ」だった。両方とも似たような性質の筆だが、「風瓏」は筆管に牛角を使って自分なりに姿の気に入るものを作った。要求したのは蔵鋒と捻筆が適度な技術で使えるものを、だった。筆では最高といわれる羊毛の筆は、鋒先が柔らかいのでくっつきやすく筆先が開きにくい特徴がある。あたたか味のある線が引けるのだが、筆使いに癖がつきやすい。そこで天尾(馬尾毛)と山羊毛を混ぜて作ってもらった。羊毛のように柔らかくはないが、倒れた筆先を真っ直ぐにもどしたり開いたりするには、少々の技術がいる筆である。
字は筆先を屈伸しながら書けるようになると、奥行きある線が引ける。この技術で自分の字を書けばそれなりの字になる。形は嘘字でなければどんな形でもよい。力があれば法が後からついてくる。魅力的だといわれている中の、そのまた一流はそれまでなかった字で翰墨三昧をやっている。
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右から風瓏・聚・貴仙(これは文明堂製)・宙游・寸時(文明堂製のものに寸時の名をつけ、筆管を長く変えた)・古今(仮名筆で文明堂製)
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宙游のPRのために書いたもの。
by mteisi | 2008-09-03 00:30 | 手仕事


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