カテゴリ:老子( 82 )
老子第八十一章
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信言不美、美言不信。善者不辯、知者不博、博者不知。
聖人不積。既以爲人、己愈有。既以與人、己愈多。
天之道、利而不害。聖人之道、爲而不争。

信言は美ならず、美言は信ならず。
善なる者は弁ぜず、弁ずる者は善ならず。
知る者は博(ひろ)からず、博き者は知らず。
善人は積まず、既(ことごと)く以て人に爲(ほどこ)して、
己れ愈(いよ)いよ有り。
既く以て人に与えて、己れ愈いよ多し。
天の道は利して害せず。
聖人の道は為して争わず。

本当の言葉は華美ではなく、
華美な言葉は本当ではない。
本当の弁論家は弁舌が巧みではなく、
弁論が巧みな者は本当の弁論家ではない。
本当の知者は博識ではなく、
博識な者は本当の知者ではない。
聖人は何もためこまない。
なにもかも人々に施しつくしながら、
自分はますます充実する。
なにもかも人々に与えつくしながら、
自分はますます豊かになる。
天の道は恵みを与えるだけで損なうことはなく、
聖人の道は何もかも為して争うことはない。

老子最後の言葉。
今の現状の中で何をすればいいのか、
何をしない方がいいのか、
この選択はとても難しい。
ただ思うのは、
私が美しいと思うものが、
この世からどんどん無くなっていくことは確かで、
現実の空しさを感じる。
でも、とにかく自分は、
美しいと思うものを
書くしかない。
それが、美しいかどうかは
知ったことではない。
勝手にしやがれというところか。
by mteisi | 2012-03-28 06:56 | 老子
老子第八十章
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小國寡民。
・・・・
甘其食、美其服、安其居、樂其俗。
隣國相望、鶏犬之聲相聞、民至老死、不相往來。

国は小さくし民は寡(すく)なくす。
其の食を甘(うま)しとし、
其の服を美(よ)しとし、
其の居に安んじ、
其の俗を楽しとす。
隣国相い望み、
鶏犬の声相い聞こゆるも、
民は老死に至まで、
相い往来せず。

国は小さくし、住民は少なくする。
自分たちの食べ物をうまいとし、
自分たちの衣服をいいものとし、
自分たちの住居に安んじ、
自分たちの習俗を楽しいとする。
隣国が見えるところにあり、
鶏は犬の鳴き声が聞こえてきても、
住民は老いて死ぬまで、
お互いに行き来することがない。

現実から遊離したところに桃源郷はあるのだろう。
だが、それでは話にならない。
頑なな気持ちではなく、
よそ様に迷惑はかけられないという気持ちが、
悲惨な孤独死を生みだしていることもある。
私達はとてもいびつな社会を、
作ってしまったのだろう。
by mteisi | 2012-03-27 07:17 | 老子
老子第七十九章
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和大怨。必有餘怨、[報怨以徳、]安可以爲善。
是以聖人執左契、而不責於人。有徳司契、無徳司徹。
天道無親、常與善人。

大怨を和するも、必ず余怨有り。
[怨みに報ゆるに徳を以てするは、]
安(いず)くんぞ以て善と為す可けんや。
是(ここ)を以て聖人は、左契を執りて而かも人を責めず。
故に、徳有るものは契を司り、
徳無きものは徹を司る。
天道は親無し、常に善人に与(くみ)す。

天下の人々の怨みを解いても、
かならずあとまで怨みが残る。
[怨みにたいして徳でもって報いることが、]
どうして善いことといえようか。
そういうわけで、
聖人は割り符の左半分をもっていても、
それで人々を責めたてたりはしない。
だから、徳のあるものは割り符を司り、
徳のないものは微税を司る。
天の道にえこひいきはなく、
いつでも善人に味方する。

策を弄せず天の道を歩く。
by mteisi | 2012-03-26 06:36 | 老子
老子第七十八章
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天下莫柔弱於水、而攻堅強者莫之能勝、其無以易之。
弱之勝剛、天下莫不知、莫能行。
・・・・

天下に水より柔弱なるは莫し。
而かも堅強を攻むる者、
之に能く勝る莫きは、
其の以て之を易(か)うる無きを以てなり。
弱の強に勝ち、柔の剛に勝は、
天下、知らざる莫くして、
能く行う莫し。

天下に水より柔らかでしなやかなものはない。
しかし堅くて強いものを攻めるには水に勝るものはない。
水本来の性質を変えるものなどないからである。
弱いものが強いものに勝ち、柔らかいものが剛(かた)いものに勝つ。
そのことは世の中のだれでも知っているが、
行なえるものはいない。

弱いものが強いものに勝つということを、
みんな知っているのかな。
強い人は馬鹿げているとはよく思うが、
相手にしないことか。
by mteisi | 2012-03-25 06:37 | 老子
老子第七十七章
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・・・・
天之道、損有餘而補不足。
人之道則不然、損不足以奉有餘。
孰能有餘以奉天下。唯有道者。
・・・・

天の道は、余り有るを損して足らざるを補う。
人の道は則ち然らず、足らざるを損して以て余り有るに奉ずる。
孰(たれ)か能く余り有りて以て天下に奉ずるや。
唯だ道有る者のみ。

天が活動する仕方は、余った者を減らして、足りない者を補う。
人々のやり方となると、そうではない。
足らない方を減らして、その分を余りある方にたてまつる。
だれが、有り余っているものによって世の中に奉仕するだろうか。
ただ道を身につけた者だけがそうするのだ。

ある程度蓄えておかないと将来が不安だが、
その分を悲惨なところへ回せばいいのだろう。
お金がないと何も動かない社会は大変だ。
自給自足ははかない夢か。
by mteisi | 2012-03-24 07:41 | 老子
老子第七十六章
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人之生也柔弱、其死也堅強。
萬物草木之生也柔脆、其死也枯槁。
故堅強者死之徒、柔弱者生之徒。
是以兵強則不勝、木強則共。
強大處下、柔弱處上。

人の生くるや柔弱、其の死するや堅強。
万物草木の生くる柔脆、其の死するや枯槁。
故に、堅強なる者は死の徒、柔弱なるものは生の徒。
是れを以て、兵強からば則ち勝たず、木強からば則ち共(きょう)さる。
強大は下に処(お)り、柔弱は上に処る。

人は生きている時は柔らかくてしなやかであるが、
死んだ時は堅くてこわばっている。
草や木など一切のものは生きている時は柔らかくてみずみずしいが、
死んだ時は枯れて堅くなる。
だから、堅くてこわばっているものは死のなかま、
柔らかくてしなやかなものは生のなかま。
そういうわけで、武器は堅ければ相手に勝てず、
木は堅ければ伐られて使われる。
強くて大きなものは下位になり、
柔らかくてしなやかなものは上位になる。

柔軟がいかに大切かを考えさせられる。
こだわることはとても大切だが、
命取りになることもあるのだろう。
こだわりと探求のちがいは。
by mteisi | 2012-03-23 06:29 | 老子
老子第七十五章
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民之飢、以其上食税之多、是以飢。
民之難治、以其上之有為、是以難治。
民之難死、以其求生死厚、是以輕死。
夫唯無以生爲者、是賢於貴生。

民の飢うるは、其の上(かみ)の税を食(は)むことの多きを以て、
是(ここ)を以て飢う。
民の治まらざるは、其の上の為す有るを以て、
是を以て治まらず。
民の死を軽んずるは、其の上の生を求むることの厚きを以て、
是を以て死を軽んず。
夫れ唯だ生を以て為すこと無き者は、
是れ生を貴ぶに賢(まさ)れり。

人民が飢えるのは、
その上に立つ者が税を多くとりたてるからである。
そういうわけで飢える。
人が治まらないのは、
その上に立つ者が余計な政策をおこなうからである。
そういうわけで治まらない。
人民が死を軽んじるのは、その上に立つ者が、
自分の生きることばかり追求するからである。
そういうわけで死を軽んじる。
いったい、
生きることに執(とら)われない者こそ、
生きることを重視する者よりも優れている。

震災、原発以後の私達の社会は、
上に立つ者の無責任ぶりが際立って見えるようになって来た。
今までも同じだったのだろうけど、
こんなことがあると空しい現実を見せつけられる。
ドイツの戦後処理や原発廃棄の決定をみると、
どうして同じように出来ないのだろうかと、
考えさせられる。
自分はどうなんだろう。
無爲でいいのか。
by mteisi | 2012-03-22 06:29 | 老子
老子第七十四章
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・・・・
夫代司殺者殺、是謂代大匠斵(タク)。夫代大匠斵者、希有不傷其手矣。

夫れ殺を司る者に代わりて殺す、是れ大匠に代わりて斵(き)ると謂う。
夫れ大匠に代わりて斵らば、其の手を傷つけざること希なり。

いったい、死刑執行者に代わって殺すことを、
大工の名人に代わって木を切るという。
いったい、大工の名人に代わって木を切れば、
自分の手を傷つけないことは、ほとんどないのだ。
by mteisi | 2012-03-21 06:23 | 老子
老子第七十三章
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勇於敢則殺、勇於不敢則活。此両者、或利或害。
天之所悪、孰知其故。是以聖人猶難之。
天之道、不争而善勝、不言而善應、不召而自來、セン(糸偏に單)然而善謀。
天網恢恢、疎而不失。

敢えてするに勇ならば、則ち殺され、
敢えてせざるに勇ならば、則ち活(い)く。
この両者は、或いは利あり、或いは害あり。
天の悪(にく)む所、孰(たれ)か其の故(ゆえ)をしらん。
是(ここ)を以て、聖人すら猶(な)お之を難(かた)しとす。
天の道は、争わずして而(しか)も善く勝ち、
言わずして而も善く応じ、
召(まね)かずして而かも自ずから来たり、
セン然として而かも善く謀る。
天網恢恢、疎にして而も失わず。

なにごとにも進んで果敢に行動する者は殺される。
なにごとにもぐずぐずと尻込みする者はいかされる。
この二つの生き方には、利益があったり損害があったり。
天がなにを嫌うのか、だれにその訳がわかろうか。
そういうわけで、聖人でさえ、
自然の道理を知ることはむずかしいとしたのだ。
天の道は争わないのにうまく勝ちを占め、
なにも言わないのにうまく応答し、
招かないのにおのずと到来し、
はてしもなく大きいのにうまく計画されている。
天の法網は広々と大きく、
目はあらいが、なにごとも見逃すことはない。

おもしろい。
by mteisi | 2012-03-20 07:16 | 老子
老子第七十二章
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民不畏威、則大威至。
・・・・

民、威を畏れざらば、則ち大威至らん。

人民が統治者の威光を畏(おそ)れなくなると、
おそるべき事態に立ちいたるであろう。

今の統治者は人民を馬鹿にしているし、
人民は統治者を馬鹿にしながら、
為す術を知らない。
by mteisi | 2012-03-19 06:59 | 老子