カテゴリ:唐詩選五絶( 74 )
太上隠者
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答人
 太上隠者

偶來松樹下 高枕石頭眠 山中無暦日 寒盡不知年

人に答ふ
 太上隠者 たいじやういんじや

偶々松樹の下に來り 枕を高うして石頭に眠る 山中暦日無し 寒盡くるも年を知らず

ふと、松の木のしたにやって来た。石の上に枕を高くしてぐっすろ眠った。山のなかに、こよみというものはない。寒がつきて春めいてきたことはわかるが、今年が何年だか、それは知らない。
by mteisi | 2013-08-14 16:26 | 唐詩選五絶
西鄙人
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哥舒歌
 西鄙人

北斗七星高 哥舒夜帯刀 至今窺牧馬 不敢過臨洮

哥舒の歌
 西鄙の人 

北斗七星高し 哥舒夜刀を帯ぶ 今に至るまで馬を牧せんと窺ふもの 敢て臨洮を過ぎず

北斗七星が空高く輝いている。哥舒将軍が夜々刀をおびて北の方をにらんでいられる。おかげさまで今日にいたるまで、馬を放牧しようと侵入の機会を窺っているえびすどもも、思いきって臨洮の地を越えて来ようとはしないのだ。
by mteisi | 2013-08-13 07:40 | 唐詩選五絶
無名氏
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伊州歌 其二
 無名氏

打起黄鶯兒 莫敎枝上啼 啼時驚妾夢 不得到遼西

伊州の歌 其の二
 無名氏 むめいし

黄鶯兒を打起して 枝上に啼かしむること莫かれ 啼く時は妾が夢を驚ろかし 遼西に到るを得ざらしむ。

うぐいすをおいたてて、あの枝で啼かさないでおくれ。あれが啼くと、あたしの夢がさめて、あのひとのいる遼西に、行けなくしてしまうから。
by mteisi | 2013-08-12 10:56 | 唐詩選五絶
無名氏
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伊州歌
 無名氏

聞道黄花戍 頻年不解兵 可憐閨裏月 偏照漢家營

伊州の歌
 無名氏 むめいし

聞くならく黄花の戍 頻年兵を解かずと 憐む可し閨裏の月 偏に照らす漢家の營

うわさに聞けば、黄花の戍(とりで)では、来る年も来る年も兵隊を駐屯させたままで、引き上げることができないという。ああ、わたしのねやにさしこむ月は、あの人がいる遠い遠い邊地の陣営を夜ごとに照らしているには相違ないのだけれど。
by mteisi | 2013-08-11 07:42 | 唐詩選五絶
薛瑩
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秋日湖上
 薛瑩

落日五湖遊 煙波處處愁 浮沈千古事 誰與問東流

秋日湖上 しゆうじつこじよう
 薛瑩 せつえい

落日五湖に遊ぶ 煙波處處愁ふ 浮沈千古の事 誰かよく東流に問わん

入り日に照らされて、太湖に舟をうかべていると、夕もやのたちこめた波の色には、いたるところで、果てしないうれいがただようている。人の世の浮き沈みを告げる幾千年もの出来事が、この湖水を中心として展開したのではないか。しかしいっさい忘却のうちに消え去って、昔の人はひとりもいない。昔のことを知っているらしいのは、東流の水ばかり。いったい、誰がそれに問いかけることができるのか。
by mteisi | 2013-08-10 07:27 | 唐詩選五絶
于武陵
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勧酒
 于武陵

勧君金屈巵 滿酌不須辞 花發多風雨 人生足別離

酒を勧む
 于武陵 うぶりよう

君に勧む金屈巵 滿酌辞するを須ひず 花發いて風雨多し 人生別離足る

この黄金のさかずきを、君におすすめづる。なみなみとついだこの酒を、辞退してはいけないよ。花が咲けば雨風が多いもの。人の世にはわかれといことがありあまるほどたるさ。(いまのこのひととき、しばしのよろこびをともにしようではないか)。
by mteisi | 2013-08-09 08:57 | 唐詩選五絶
荊叔
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題慈恩塔
 荊叔

漢國山河在 秦陵草樹深 暮雲千里色 無處不傷心


慈恩の塔に題す
 荊叔 けいしゆく

漢國山河在り 秦陵草樹深し 暮雲千里の色 處として心を傷ましめざるは無し

漢の国のもので残っているのは、見わたすかぎりの山と河だけ。絶大の権勢をほこった秦の始皇の御陵には、草や木が深く生い茂っている。夕雲がたれこめた千里のかなたまで、とっぷりと日がくれてゆくところ、どこを見ても心をいたましめる景色ばかりだ。
by mteisi | 2013-08-08 19:52 | 唐詩選五絶
文宗皇帝
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宮中題
 文宗皇帝

輦路生春草 上林花滿枝 憑高何限意 無復侍臣知

宮中にて題す
 文宗皇帝 ぶんそうくわうてい

輦路春草を生じ 上林花枝に滿つ 高きに憑る何限の意 復た侍臣の知る無し

宮中の通路に春の花が萌えて、上林苑では花が枝もたわわに咲きみちている。それをたかいところにのぼって眺めていると、無限のおもいがこみあげてくる。わしをとりまいて、はしゃいでいる侍臣たちは、わしの胸のうちなぞ、なんにも知らないのだ。
by mteisi | 2013-08-07 14:15 | 唐詩選五絶
賈島
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尋隠者不遇
 賈島

松下問童子 言師採藥去 只在此山中 雲深不知處

隠者を尋ねて遇わず
 賈島 かたう

松下童子に問へば 言ふ師は藥を採り去ると 只此山中に在らん 雲深くして處を知らず

松の木のしたで、童子がいたので、「隠者はどこへおでかけになったか」と尋ねた。すると童子がいった。「先生は薬草を採集しに行かれましたよ」。それじゃあ、この山のなかにいられることはいられるね。こう雲が深くたちこめていおては、どのへんかわからない。
by mteisi | 2013-08-06 07:41 | 唐詩選五絶
孟郊
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古別離
 孟郊

欲別牽郎衣 郎今到何處 不恨歸來遲 莫向臨卬去

古別離 こべつり
 孟郊まうかう

別れんとして郎の衣を牽く 郎は今何れの處にか到る 歸來の遲きを恨みず 臨卬に向って去ること莫れ

あわかれのときになって、あのひとの袖をひきとめていったの。「あなたは今、どこへいらっしゃる気? お帰りがおそくなっても仕方がない。恨まないわ。でも、若くて美しい後家さんがいるという臨卬の町へは行かないでね」
by mteisi | 2013-08-05 08:42 | 唐詩選五絶