カテゴリ:七絶( 60 )
蘇東坡
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贈嶺上老人

 蘇東坡

鶴骨霜髯心已灰 青松合抱手親栽 問翁大庚嶺頭住 曾見南遷幾箇囘


嶺上老人に贈る

 蘇東坡

鶴骨霜髯心已に灰 青松合抱手親ら栽う 翁に問う大庚嶺頭に住む 曾て南遷幾箇か囘るを見たる


わが老体は鶴のように痩せ細って骨ばかり、髯は霜のように白く、こころはとっくに冷たい灰のようにかわきkっている。ひとかかえもあろうとみえて、嶺上に青々と聳える松は、往年、あなたが手ずから植えたものの由。ご老人におたずねしたい。あなたはこの大庾嶺にお住まいだが、これまでこの嶺を越えて南へ謫されて行った人が、何人ここへもどって

来たかね。



by mteisi | 2014-07-13 08:05 | 七絶
蘇東坡
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澄邁驛通潮閣

 蘇東坡

餘生欲老海南村 帝遣巫陽招我魂 杳杳天底鶻没處 青山一髪是中原


澄邁驛通潮閣

 蘇東坡

餘生老いんと欲す海南の村 帝巫陽をして我が魂しいを招か遣む 杳杳として天底れ鶻没する處 青山一髪是れ中原


残り少ない私の寿命は、海南の村でつきることと思っていたのだが、天帝は[昔]巫陽をつかわして[屈原の霊魂を招かれたように、まるで私の体を離れて漂っていたような]私の魂を呼び戻してくださっ[て、今、この潮邁駅までまいりまし]た。[潮邁駅から大海原を眺めてみると]海上はるか大空がたれ下がり、はやぶさの姿が没するあたりから、髪の毛一筋のように見える青山こそ、なつかしい中原の地なのだ。


by mteisi | 2014-07-12 08:49 | 七絶
蘇東坡
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縦筆

 蘇東坡

北船不到米如珠 酔飽蕭條半月無 明日東家當祭竈 隻雞斗酒定膰吾


縦筆

 蘇東坡

北船到らず米珠の如く 酔飽蕭條半月無し 明日東家當に竈を祭るべし 隻雞斗酒定めて吾に膰せん


北からの船便がとだえて、米は真珠のように貴重なものとなった。この半月ほどは、まことにわびしく、腹一杯飲み食いできた日はない。明日は東のお鄰で、かまどを祭るにちがいない。鶏肉とお酒のおさがりが、さだめしお頒ちいただけることだろう。


by mteisi | 2014-07-11 07:57 | 七絶
蘇東坡
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縦筆

 蘇東坡

父老爭看烏角巾 應縁曾現宰官身 溪邊古路三叉口 獨立斜陽數過人


縦筆

 蘇東坡

父老爭ひ看る烏角巾 應に曾て宰官の身を現ずるに縁るべなし 溪邊の古路三叉口 獨り斜陽に立って過人を數ふ


土地の老人たちは、わたしのかむる烏角巾を争って看ようとする。わたしが、かつて宰官の身として、うつそみをこの世に現したことがあるという縁起によるものであろうか。渓流に沿う三叉路のところで、斜陽の中にひとり立ちつくして、通り過ぎてゆく人を数えている。


by mteisi | 2014-07-10 07:54 | 七絶
蘇東坡
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縦筆

 蘇東坡

寂寂東坡一病翁 白須蕭散滿霜風 小兒誤喜朱顔在 一笑那知是酒紅


縦筆

 蘇東坡

寂寂たり東坡一病翁 白須蕭散霜風滿つ 小兒誤って喜ぶ朱顔の在るを 一笑す那ぞ知らむ是れ酒紅なるを


淋しくひっそり暮らす東坡は、いまは一介の病める翁。白い鬚がものわびしくたくわえられていて、霜を降らす風が充満しているようである。息子は父の顔を見て血色がよいと喜んでくれるが、そのまちがいにほほえむ父、実はほろ酔いのあかみだとは気がつくまいと。


by mteisi | 2014-07-09 09:00 | 七絶
蘇東坡
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縦筆

 蘇東坡

白頭蕭散滿霜風 小閣藤牀寄病容 報道先生春睡美 道人輕打五更鐘


縦筆

 蘇東坡

白頭蕭散霜風滿つ 小閣藤牀病容寄す 報道先生春睡の美なるを 道人輕く打つ五更の鐘


こじんまりした部屋で籐の寝台に病身をよこたえていると、さばさばとした白髪頭を秋風がなでまわす。「先生は春のうまいさながらに、まだよくおやすみだよ」と、道人に報せてくれたのか、五更を告げる鐘を、道人がそっと打ってくれたようだ。


by mteisi | 2014-07-08 07:53 | 七絶
蘇東坡
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食茘支

 蘇東坡

蘿浮山下四時春 廬橘楊梅次第新 日噉茘支三百顆 不辭長作嶺南人


茘支を食ふ

 蘇東坡

蘿浮山下四時の春 廬橘楊梅次第に新なり 日に噉ふ茘支三百顆 辭せず長しへに嶺南の人と作るを


蘿浮山の山麓では、四時を通して春さながら。廬橘・楊梅と、つぎつぎに新鮮な果物が実る。[廬橘・楊梅のあと、茘支が熟すと、晋の王獻之の黄柑三百顆のように、]毎日、三百個ずつも茘枝が食べられる。これなら永久に嶺南の住民となって住みついてもかまわない。


by mteisi | 2014-07-07 08:22 | 七絶
蘇東坡
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慈湖夾阻風

 蘇東坡

臥看落月横千丈 起喚清風得半帆 且竝水村攲側過 人閒何處不巉巖


慈湖夾にて風に阻まる

 蘇東坡

臥して看る落月の横千丈 起って清風を喚んで半帆を得たり 且つ水村に竝んで攲側して過ぐ 人閒何の處か巉巖ならざらむ


千丈のかわもにかたぶく月を、横になったままながめていると、[船頭たちは]もう起き出て、すがすがしい風をよびこんで帆の半ばをふくらますことができた。舟は、水辺の村落とまったく平行して傾いて走り過ぎる。この人間世界、どこといってけわしからぬところがあろうか。


by mteisi | 2014-07-06 08:06 | 七絶
蘇東坡
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慈湖夾阻風

 蘇東坡

日輪亭午汗珠融 誰識南訛長養功 暴雨過雲聊一快 未妨明月却當空


慈湖夾にて風に阻まる

 蘇東坡

日輪亭午汗珠のごとく融く 誰か識らむ南訛長養の功 暴雨過雲聊か一快 未だ妨げず明月の却って空に當るを


この地でさえ、日輪がま南にかかると、珠のような汗がぽたぽたひっきりなしに落ちる。南方の文化を気長にそだてたかめるという苦労は、いかばかりであろうか。それでも夕立ち一過、雲の去ったときのすがすがしさは、ちょっとすばらしい。夜半、空高くかかる明月は、なんのさまたげもうけずかがやいている。


by mteisi | 2014-07-05 08:16 | 七絶
蘇東坡
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慈湖夾阻風

 蘇東坡

此生歸路轉茫然 無數青山水拍天 猶有少船來賣餅 喜聞墟落在山前


慈湖夾にて風に阻まる

 蘇東坡

此の生歸路轉た茫然 無數の青山水天を拍つ 猶ほ少船の來って餅を

賣る有り 喜び聞く墟落の山前に在るを


わが生涯のゆきつく先はいずくとも知れず、いよいよ茫漠としてきた。数しれずたたなわる青山、さかまく波は天をうつ。こんなさみしいところ、こんな風の中でも、少船で餅を売りに来るものがある。その餅売りから、あの山のこちらがわに村落があると聞くのは、なんともうれしいことである。


by mteisi | 2014-07-02 07:49 | 七絶