カテゴリ:荘子( 331 )
荘子333
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一之三
故嘗試論之、
世俗之所謂知者、有不爲大盗積者乎、所謂聖者、有不爲大盗守者乎、何以知其然邪、

故に嘗試みにこれを論ぜん。世俗の謂わゆる知なる者、大盗の為に積まざる者あらんや。謂わゆる聖なる者、大盗の為めに守らざる者あらんや。何を以てその然るを知るや。
by mteisi | 2016-08-08 07:26 | 荘子
荘子332
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一之二
然而巨盗至、則負匱掲篋擔嚢而趨、唯恐緘滕扃■(金偏に橘の旁・けつ)、之不固也、然則郷之所謂知者、不及爲大盗積者也、

然れども巨盗至、則ち匱を負い篋を掲げ嚢を担いて趨り、唯だ緘滕扃ケツの固からざるを恐る。然らば則ち郷の謂わゆる知なる者、乃ち大盗の為に積みし者ならずや。

けれども大泥棒がやってくると、その箱ごと背負い、つづらごと持ちあげ。袋ごとかついで走り去って、縄がけや錠前が[役にたたないどころか、逆に泥棒の方でもそれらが]しっかりかかっていいないことを心配するものである。してみると、前に[泥棒を防ぐ]知恵だと思っていたこことは、なんとむしろ大泥棒のために助けてやったことになるのではなかろうか。
by mteisi | 2016-08-07 06:48 | 荘子
荘子331
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胠篋篇 第十
一之一
將爲胠篋探嚢發匱之盗而爲守備、則必攝緘滕、固扃■(金偏に橘の旁・けつ)、此世俗之所謂知也、

將に篋を胠き嚢を探り匱を発くの盗の為にして守備を為さんとすれば、則ち必ず緘滕を摂めて扃ケツを固くせん、此れ世俗の謂わゆる知なり。

今、[人目を忍んでこっそりと]つづらを
ひらいたり袋の中をさぐったりするようなこそ泥に用心して備えをしようなら、だれでも[その袋や箱に]縄やひもをしっかりかけて、錠前を固くしめておくであろう。それが世間でいう知恵である。
by mteisi | 2016-08-06 07:46 | 荘子
荘子330
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一之十三
及至聖人、屈折禮樂、以匡天下之形、縣跂仁義、以慰天下之心、而民乃始踶跂好知、争歸於利、不可止也、此亦聖人之過也、

聖人に至に及びて、礼楽に屈折して、以て天下の形を匡し、仁義に県跂して、以て天下の心を慰む。而して民乃ち始めて踶跂して知を好み、争いて利に帰し、止むべからざるなり。此れ亦聖人の過ちなり。

[しかし、]聖人があらわれるようになると、儀礼や音楽に従って体を折りかがめて、それで世界の人々の心を[むりに]やわらげようとしたり、仁や義によってつなぎとめて、それで世界の人々の心を[むり]ととのえようとすることになった。そこで、民衆ははじめてあくせくと努めて知識を求め、争って利益を追求して、とてもひき止めようもないほどになったのである。これはやはり聖人のあやまちである。
by mteisi | 2016-08-05 07:11 | 荘子
荘子329
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一之十二
故馬之知而態至盗者、伯樂之罪也、夫赫胥氏之時、民居不知所爲、行不知所之、含哺而熙、鼓腹而遊、民態以此矣、

故に馬の知の而く態して盗に至る者は、伯楽の罪なり。
 夫れ赫胥氏の時、民は居るも為す所を知らず、行くも之く所を知らず、哺を含みて熙しみ、腹を鼓ちて遊ぶ。民の能は此に以まる。

だから馬がずるがしこいことをして泥棒までするほどの知識を持つようになったのは、[野生の馬を調教しはじめた]伯楽の罪である。
 [それと同じこと、]大昔の赫胥氏の時代には、民衆は平生の生活でもことさらな仕事をしようとは思わず、外に出かけてもこれという行き先をもたず、食べものをたらふく食べてたのしみ、腹つづみをうって遊んでいた。民衆のできることは[もともと]これぐらいのものであった。
by mteisi | 2016-08-04 07:36 | 荘子
荘子328
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一之十一
夫馬、陸居則食草飮水、喜則交頸相靡、怒則分背相踶、馬知已姿矣、夫加之以衡扼、齊之以月題、而馬知兀倪、■(門の中に煙の旁)扼鷲曼、詭銜竊轡、

夫れ馬は、陸居して草を食み水を飲み、喜べば則ち頸を交えて相い靡し、怒れば則ち背を分かちて相い踶む。馬の知は此に已まるなり。夫れこれに加うるに衡扼を以てし、これを斉うるに月題を以てして、而して馬の知は倪を兀り、扼をくだき曼を鷲り、銜に詭らい轡を竊む。

いったい馬は、陸地に住んで自然の草を食い水を飲み、嬉しいときは頸をくっつけあってたがいに靡りあわせ、怒ったときは背中をむけあってたがいに蹴りあう。馬野知恵は[もともと]これぐらいのものであった。ところが[この野生の馬を調教して車を引かせるために]車の長柄の前の横木や首木どめでととのえることになって、馬はその横木どめを折り、首木をくだき、車の幌を突き破り、くつわにわからって手綱を奪いとるほどの知恵を持つようになった。
by mteisi | 2016-08-03 07:51 | 荘子
荘子327
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一之十
五色不亂、孰爲文采、五聲不亂、孰應六律、夫残樸以爲器、工匠之罪也、毀道徳以爲仁義、聖人之過也、

五色乱れずんば、孰れか文采を為らん。五声乱れずんば、孰れか六律の応ぜん。夫れ樸を残いて以て器を為るは、工匠の罪なり。道徳を毀ちて以て仁義を為るは、聖人の過ちなり。

五色の正しい色を乱すのでなければ、だれにもさまざまな文飾はつくれない。五音の樸をそこなって器物を作るのが、細工の罪であるように、真実の道徳を破壊して仁義の教えをつくったのは、聖人のあやまちである。
by mteisi | 2016-08-02 07:16 | 荘子
荘子326
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一之九
故純樸不殘、孰爲犠樽、白玉不毀、孰爲珪璋、道徳不廢、安取仁義、性情不離、安用禮樂、

故に純樸残われずんば、孰れか犠樽を爲らん。白玉毀たえずんば、孰れか珪璋を爲らん。道徳廃せずんば、安ぞ仁義を取らん。性情離れずんば、安ぞ礼楽を用いん。

だから、自然のままの樸をそこなうのでなければ、だえrにも祭儀の酒樽はつくれない。自然のままの白玉を傷つけるのでなければ、だれにも珪や璋はつくれない。真実の道徳がだめにならなければ、どうして仁義が必要になろう。本来の生まれつきや真情が失われなければ、どうして礼儀や音楽が必要になろう。
by mteisi | 2016-08-01 07:21 | 荘子
荘子325
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一之八
及至聖人、■(敝の下に足・ベツ)■(薛の下に足・セツ)爲仁、踶跂爲義、而天下始疑矣、澶漫爲樂、摘僻爲禮、而天下始分矣、

聖人に至るに及びて、ベツセツして仁を為し、踶跂して義を為し、而して天下始めて疑う。澶漫して楽を為し、摘僻して礼を為し、而して天下始めて分かる。

[ところが]聖人があらわれることになると、むりにつとめて仁を行い、あくせくして義を行って、それ世界じゅうがはじめて疑惑を抱くようになった。また気ままかってに音楽を奏で、こまごまと礼儀をさだめて、それで世界じゅうがはじめて分裂するようになった。
by mteisi | 2016-07-31 07:35 | 荘子
荘子324
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一之七
夫至徳之世、同與禽獸居、族與萬物並、惡乎知君子小人哉、同乎无知、其徳不離、同乎无欲、是謂素樸、素樸而民性得矣、

夫れ至徳の世は、同じく禽獸と居り、族まりて万物と並ぶ。惡くんぞ君子と小人とを知らんや。同乎として無知なり、其の徳離れず。同乎として無欲なり、是れを素樸と謂う。素樸にして民性得らる。

いったい、最高の徳が行われた世では、人々は鳥や獣といっしょに雑居し、万物といっしょに区別なく住んでいた。どうして君子と小人との差別などわきまえようか。ぼんやりとして知識もなく、その本来の持ちまえから離れることがなかった。ぼんやりとして欲望もなく、これこそ素朴(すなわち樸のきじのまま)というものであった。素朴であってこそ、民衆の自然な生まれつきも完全であった。
by mteisi | 2016-07-30 07:19 | 荘子