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2008年11月26日
アフリカのお面

久し振りの「風山叢」。
車を走らせながら、王羲之のことを考えていた。
貴族的ということで、対照的なアフリカのお面が浮かぶ。
面白い彫刻のことを考えていたらイサムノグチが浮かんできた。
さて、貴族的なということで浮かんだ彫刻が百済観音。
危ない連想ゲーム。

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山はあたたかくて心地よい。家の生ごみを雑草畑に埋めるだけの野良仕事。
谷を隔てた中川さんのアトリエを橡越しの撮影。
去年の今ごろはせっせと草刈りをやっていた。今年は雑草の中に
果物の木の苗を植えようと思っている。

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さて家に帰って連想ゲームの続き。
マリ共和国のドゴン族のお面は、坂田さんから手に入れたもので私の支柱のようなもの。
仕事の羅針盤でもある。

川から拾ってきたような馬面は、どんな時代のどこの造形物が来ても、
平気でそこに在り続けるエネルギーを持っている。
石斤で叩いたようなぶつ切りは技術のかけらも感じさせない。
その在りように生の物語を聞く思いがする。
by mteisi | 2008-11-26 18:08 | 手仕事
2008年11月25日
茅葺き屋根

紅葉のただ中に茅の屋根
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誘われて「茅乃舎」という食事処に行って来た。
紅葉の中に表れた茅葺き屋根は、深々とどっしりとした
佇まいを見せていた。
中塗り状態で止めた土壁が、とてもあたたかくて美しかった。
雨樋の変わりに、玉砂利を敷いた雨受けの溝が
なかなかの風情。

もう三年くらい前になるだろうか、韓国の安東市にある
河回村(ハフェマウル)を訪れたことがあった。
昔の暮らしを守りながらの、時代遅れの暮らしは
その不便さと共に、どこか悠々として遥かだった。
写真データを処分してしまった惜しいことをしたが、他の方の
写真を見ていただいて、空気を感じて欲しい。
この簡素な、縄で押さえた藁葺き屋根と土壁のバランス。

全く違う形だが、これが私の寸時舎のお手本。
by mteisi | 2008-11-25 21:27 | 手仕事
2008年11月23日
ことばを吐く

書にとって言葉は大切なもの。
ところが書展で見かけるものは読めもしない漢詩であったり、
万葉集や古今集から取ったものが多い。

作り手に自分の言葉を表現するという意識がとても薄い。

書は美しく書けばそれで足りるが、それだけでは物足らない。
それで形に化粧を施したり、アルファベットを組み合わせて
漢字もどきを作る書が受けたりしている。

言葉は書の重要な要素で、しっかり表現することが魅力的な
書の世界を作ることになる。

言葉を楽しむ書展を企画しよう。
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直奈ちゃん四年生。五七五のことば遊びを勧めてみた。
絵も入れて楽しめるものができた。

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ことばがすらすらとは出てこない。悩みながらひねり出していた。
by mteisi | 2008-11-23 19:46 | 児童の指導
2008年11月21日
仮名って何

書を面白いと感じてもらいたい。
そのためには書道用語が一般化することだと思う。書道の専門的な
言葉が行き渡るには、とてつもない衝撃が必要だろう。

女性の場合、平安の流麗な仮名を学びたいと思う人は多いと思う。
しかし、流れるように書かれた書を読むのはとても難しいと思って
いる方が多いだろう。
実際、美術館で出会ってもほとんど読めない字が並んでいる。

しかし、意外と簡単なのだ。
それは、仮名だからという事。

今知っている平仮名は「あいうえお」の四十八字。
その変体仮名を二、三個ずつ記憶して、平仮名の間に適当に入れていけば、
古典表記の仮名になる。
そして、平仮名が漢字の草書を記号化したものという知識があれば、
仮名の見通しが随分よくなる。

変体仮名は音訓両方の当て字を草書化したものと思ってよい。
主に音を当てたものが多く残っている。
例えば、「あ」は安の草書で変体仮名は「阿・悪・愛」。
「い」は以の草書で「意・移・伊」などがある。
よく出てくる文字の変体仮名の二、三個ずつでも覚えるといい。
連綿という、字と字をつなぐ線を気儘に引きながら書いていけば、
平安風の書は書けてしまうのである。
読むもの随分楽になる。

仮名を学ぶには書くよりも読む方から入る方が早いかも知れない。
文学的な楽しみも深味がますのではなかろうか。

子供たちに古典を伝えたいと思っている。その一つが変体仮名を
教えること。平安時代のものだから、言葉も分からないし字も
分からない。
だが、出会いが大切と考えた。まず出会わすこと。

読むのは難しいから、しっかり見ること伝えたい。間違った字を
書いても構わない。手直しするよりも触れさせることが大切である。
一、二年の小さな子に書かせても、大人が見逃す変化を微妙に
捉えることがある。知識なしで見るからであろう。
一度見るのと、見ないのでは、考えられない差が出てくるものだ。
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真愛ちゃん五年生の「伝・藤原行成」の「針切れ」。変体仮名も少し読めるようになっている。
これからは一緒に読んでいこうと思っている。
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行成の書として伝わっているが、書き手不明の書。書技的には抜群に面白い。
意思的な変化の妙がある。それを一所懸命書いている。
by mteisi | 2008-11-21 21:58 | 児童の指導
2008年11月20日
白川静探求

白川静の文字研究は、書家にとって宝の山だ。
下手をすると宝の持ち腐れになる。

これまでの字源辞典だと意味が分からないものが多くて、
学ぶにしても、丸覚えで字形を飲み込むしかなかった。
白川さんの解釈は理路整然として、いちいち腑に落ちるし、
調べることがとても楽しい。
しかし、「字統」だけでは難しいので白川静文字講話」や
漢字百話」などから入っていくといいかもしれない。

白川さんの著書を読んでいくうちに、効果的な方法に行き着いた、
始めは一度調べた字をまた辞典で引くのは
面倒だと思いノートに写していた。
調べた字の字形や意味そして解釈を写すようにしてみた。
記憶に残っていない字は何度も写していくうちに、
少しずつ記憶量が増えていった。

白川さんの著書は全部読んでみようと、
読み始めてから一年が経つ。
金文通釈」などの専門研究書はなかなか前へ進まなが、
でも、少しずつ楽しく読んでいる。

これからの書家は甲骨金文を読めないと
ダメではないかと思っている。
語源もそうだが、漢詩など漢字の世界に足を踏み入れて、
書の大きさが分かってきたようだ。
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甲骨文の世界」を読んだ時から、分からない字は「字統」で調べながら進んだ。

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金文の世界」は拓本の文字を鉛筆で写しながら読んでいくと、
時や空間の変化にしたがって、字形も変化していく様子を感じることが出来た。
筆で臨書して書技を高めるのもいいが、蔵鋒を使える人は
鉛筆で充分だと思う。
by mteisi | 2008-11-20 20:42 | 語源で遊ぶ
2008年11月18日
飛鴻堂印譜

面白いものが手に入った。
きっかけは「あまねや」の川口さん。
「面白いものがありました」と季刊「銀花」を手に
訪ねてくれた。

その中に「飛鴻堂印譜」と題し、印影と釈文が紹介されていた。
川口さんは「刻まれた文字の内容が面白いので何か参考になるのでは」と。
そしてネットでは4万円程度で売っているという事だった。
清代の印には魅力を感じないが、漢文の語句に興味が出てきたところなので、手に入れてみたいと思った。

調べてみると高いものは8万以上、一番安いもので3万5千円だった。
どんなものか本は見たことないし、
見たいのは語句と釈文の木版文字なので、
一番安いのでいいと思って千葉市川の智新堂書店から購入した。

ところが、なんとも素晴らしいものが届いた。
説明にあった木帙というのがどういうものか分からなかったが、
写真の通りの古式ゆかしき趣のあるものだった。
本はほとんどめくられてなくて美しかった。
釈文の版は何人かの彫師が刻んでいて、表情の違いが楽しめる。
今の活字にはない、書とのつながりを強く感じる。
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変なものでない様にと祈る気持ちで開けてみると、
中からこの姿が。

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印の語源は、跪づく人の頭を手で押さえるという形で出来ており、
印の性格上、造形を遊ぶ感覚は少なかったのではないかと思われる。
どの形も整斉として揺るぎがない。
by mteisi | 2008-11-18 00:19 | 歴史的な作家と書
2008年11月17日
文字をたくさん書

お習字の練習はだいたい下級生はひらがなか漢字の2文字。
上級生で漢字かな混じりの4文字の言葉を練習するようだ。
一ヶ月間同じ言葉を何度も書かせることが多い。
これは退屈で、心の時めきが生まれてこない。
でも、だまってこの退屈さに堪えた人が、上手になる。

文字は言葉を書くことが目的なのだから、
日記や文章を書かせるのが、とても大切だと考えている。
たぶん、長い文章を習字教室で書いたことがある人は、
とても少ないと思う。

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舞花ちゃん4年生。教室に入ってくる時はいつも機嫌が悪い。
しばらくすると笑顔がみえてくる。

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白川静の常用字解から抜粋して、写させてみた。
この時は根気強く書いていた。
by mteisi | 2008-11-17 00:08 | 児童の指導
2008年11月15日
作り出す

上達するといえば上手な字を真似て、それに似せることだ。
それだけでいいのかなと思うが、小学校でも書塾でもそれしかない。

方法は色々ある。
ただ、時間がかかる。
そして、お母さん方の厚い壁にはばまれることが多い。
形以外では上達が計れないのは、プロも同じかもしれない。
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絢乃ちゃん。ちょっとおしゃべりな3年生。
そのせいか、言葉はよく出てくる、このフルーツの本も楽しそうにあっという間に仕上げた。
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読んでみると、おや?
by mteisi | 2008-11-16 00:28 | 児童の指導
2008年11月14日
泰山金剛経 其二

泰山金剛経
については面白い話がもう一つ。
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柳宗悦の民芸運動を見ていくにつれ、様々な手仕事に興味を持つようになり、
芸術や古美術だけでなく、現代の手仕事の在りようが気になりだした。
そんな折、当時天神近くの今泉で「あまねや工芸店」を営んでおられた川口さんと知り合い、
意気投合し民芸の話が面白くて足繁く通った。
今泉には「あまねや」を紹介してくれた「珈琲美美」があり、
店主の森光さんとも手仕事や芸術の話をよくしていた。

金剛経の素晴らしさを二人に話していたら、そのうち川口さんが、
大阪のある店で700万で売っている泰山金剛経の一式を見つけられた。
凄い金額なので手にすることはとても無理と思ったのだが、
森光さんから欲しい人を募って頒布会をやるという案が出た。
詳しい数字は忘れたが4文字一組になっていたので、
それを12000円で分けようというものだった。

どの文字を選ぶかでトラブルを心配したが、
何ごともなく皆さんに満足して頂いて頒布会が終了した。
その時手に入れたもので表装したのがこの「世尊」。
自分で沢山買い込まなければならないと思っていたが、
一組しか手に入れることができなかった。
後の二文字も欲しい人に分けたので、
この「世尊」と先の「處作経生、出應名世」の二点だけである。

この時、金剛経を見た人はみんな欲しくなったように思う。
自分は部屋を飾るのが嫌いで何一つ置いていないが、
これだけは欲しいといって買われた方がおられた。

泰山金剛経は王羲之のどの書よりも断然素晴らしいと思う。
by mteisi | 2008-11-14 20:35 | 歴史的な作家と書
2008年11月12日
中川さんの小屋作り

中川さんにお礼の「風山叢」の米を持っていった。
少ししか取れないのにこんなに沢山といって、喜んでもらってくれた。

私がせっせと草取りをしていた時に、中川さんは向かいの傾斜地で小屋作り。
長い間ほったらかしになっていたが、いよいよオープンが近づいた。
ここで奥さんが、織物教室とパン屋さんの店開き。
毎週土曜日だけのお店のようだ。
私も小屋を作りたいが、時間を作るのが難しい。
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簡素な建物だが山にしっかり溶けこんでいる。

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大きなガラス窓が爽やかに輝いていた。
by mteisi | 2008-11-13 01:00 | 手仕事