2008年10月10日
顔真卿は面白い

顔真卿王羲之と双璧の存在。羲之の典型的な貴族の代表に対し、野趣味ある創造的表現者の代表として肩を並べている。
唐も晩唐になると、能書家は貴族的なすました書にあきたらなくなり、新しい表現を模索する。
秦(始皇帝)の時代の篆書を学ぶのが流行ったりしている。古きに新しさを見出そうとするのは、常道というか、それしかないのであろう。
あるいは他の国からやってくる、というのは日本でよくあることのようだが、それも新しいのかもしれない。
顔真卿の行書は楼蘭で発掘された、晋代の李伯文書や草章木簡に雰囲気が似ている。それから、正倉院の万葉仮名文書もそんな空気がある。
もしかすると底流で流れている字は、書きやすい右回転の丸字形(草章木簡の特徴でもある)が生きていたのではないだろうか。日本で発掘されている木簡もそんな字が多い。
顔真卿のダイナミックな表現は、後世の独創的表現者にとって魅力的な存在だったようだ。
写真の祭姪稿や争座位稿は行書の至宝だが、どちらも下書き原稿で清書は残されていない。美を表現しようとして書くものではなく、ただ書いたものが率意の書といって、とても喜ばれる。これらは王羲之の蘭亭序と並んでその代表的なもの。

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私が臨書した祭姪稿。とても木簡の様には見えない。
# by mteisi | 2008-10-10 23:22 | 歴史的な作家と書
KURASHIの中の美Ⅲ
「KURASHIの中の美Ⅲ」の飾り付けをしました。
今までの2回はサポートでしたが、今回は織りの中本扶佐子さんを誘って参加しました。
旧作ばかりになりましたが、会場が変わると見え方がちがって面白く感じました。
中本さんの新作は色調と柄が斬新でといいとてもいい驚き、
いつもながら、ZAKKIさんの家具は白ペンキのコンパネの壁に、
ほのぼのとした影を感じる空間を作っていた。
成一のPigMoveもプロジェクターの威力、新たな見え方だった。

明日から、13日(月・祝日)まで大野城まどかぴあで開催。

KURASHIの中の美 Ⅲ
2008年10月7日(火)〜13日(月・祝) 10:00〜18:00
大野城まどかぴあ 多目的ホール
〒816-0934 大野城市曙町2-3-1
Tel 092-586-4000
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難波さんの鉄のオブジェとともに。
コンパネで作った壁。

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ZAKKIさんの器ごしに。

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大いに企んでいます。

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中本さんの糸紡ぎのワークショップもあります。
# by mteisi | 2008-10-06 20:31 | 展覧会
風花山叢
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書展「一瞬」の会場に、鉄の棒で囲っただけの茶室を設えます。
そこに工夫をして掛軸をと思いましたが、いい感じになりそうも無いので、壁代わりの紙のタペストリーを作ってみました。
一つは象形文字の当て字で、山での様子を紙一杯に書いて見ました。まあまあでしたが、すっきりしたものも作ってみようと思い「風花山叢」の4文字を行書と甲骨金文で書いてみました。
折りじわがあったので、くしゃくしゃにしてみました。結構気に入りました。
大きさは2メートル四方です。
# by mteisi | 2008-10-05 21:44 | 展覧会
垂れた稲穂
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稲がどんなだろうかと山へ出かけた。
穂は垂れて随分と色づいていた。
自給自足は最高だろうとずっと思っていた。
手が届きそうな所には来たものの、
なかなか先に進まない。
今年は収穫した米を食べたいものだ。
# by mteisi | 2008-09-27 00:45 | 野良しごと
栞ちゃん
10月21日からアクロス福岡で行う、書展「一瞬」に出品するための作品を書いているところ。
手製本にするために、少しずつページを増やしてきた。絵を書くのがとても好きなので、作品の1枚1枚にも水彩で模様をつけている。あとは表紙を作って製本する作業が残っている。
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流美な隷書の「曹全碑」を書いているところ。
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# by mteisi | 2008-09-25 21:05 | 児童の指導
王羲之
王羲之は書の世界では書聖と呼ばれ、どんな書よりも書の中心に置かれている人物。その前にも様々な書はあり、その後も沢山の書は生まれたが、その位置が変わることは無かった。
簡単にいえばウエストのくびれた右上がりの、瀟洒で颯爽とした書を書いた人。王羲之以後、大小・肥痩・疎密・強弱等々の変化によって、ドラマチックに見せることが始まった。草書と行書や楷書が混在される表現法は格好の自己表現の場だが、最近の書壇ではあまり見られない。
唐以後の書で、全く王羲之の影響を受けていない能書家を見出すのは難しいが、清代まで下ると出てくる。
王羲之に対する批判は知っている中では韓愈会津八一は俗調だと嫌い、柳宗悦は王羲之一個人の個性をなぜみんなが習うのかと批判している。私も王羲之の影響をたっぷり受けた一人で、その影響を消したいと思うが、無理に消すのもどうかなと思っているところ。
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孔侍中帖と呼ばれる尺牘(手紙)を臨書してみた。
# by mteisi | 2008-09-23 18:42 | 歴史的な作家と書
陶印
作品を作る時は、印も自分で作ったものを使うようにしている。独自の主張をしたときは篆刻家や印鑑屋さんの印では不似合いな場合が多い。特に従来の表現よりも何か違うものを作る時は、印にも新しい主張が欲しいと思っている。
陶印は石のものより線の表情が面白く上がる。きっちりとした技術を学ぶときは石で線の表情の出し方を身につけなくてはならないが、楽しむには陶印が適当かもしれない。
大人の方にも作ってもらったが、子どものものが形など面白いものが多かったので見てもらいたい。
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芙美ちゃん。土いじりが好きで轆轤も要領がよかった。形も装飾も面白い。
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祐理ちゃん。印作りが好きでいつも心待ちにしている。奥村の印は特に素晴らしい。
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太基君。意外とこった造形を作った。初めてだったが、底力を発揮した感じ。
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栞ちゃん。アルファベットが面白い。浅井はおじいちゃん。
# by mteisi | 2008-09-21 18:46 | 児童の指導
絵は
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絵はモナリザ・最後の晩餐・印象派・マネ・モネ・セザンヌ・ルノアール・キュビズム・ピカソ・ブラック・ポロック・ウォホール・等々並べればもっと沢山の名前を知っているし、その作品をイメージできる人は結構多いのではなかろうか。
ところで王羲之・鄭道昭・智永・虞世南・欧陽詢・褚遂良・顔真卿・蘇東坡・黄山谷・祝允明・八大山人・何紹基・王鐸・空海・最澄・佐理・定家・道風・大燈国師・光悦・良寛・慈雲・池大雅・白隠・仙厓などの名前を知っていて、作品が思い当たる人は日本の中にどれくらいいるのだろう。書は結構面白いものだと思うが、どういう人がどういう字を書いたかという情報がないと、ただ見ただけでは難しいのではなかろうか。大筆を持ってのパフォーマンスはエネルギーのほとばしりでそれとなく面白く感じれるが、色々な書を見て書のおいしいまずいを味わう人はとても少ないような気がしている。
もう少し情報を流す必要がある。
# by mteisi | 2008-09-20 23:21 | 歴史的な作家と書
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文字の中には人の姿が、いろいろな形で現れてくる。令もその一つで、礼冠を深々とかぶり跪いて神意を受けている形。みことのり・いいつける・よい・せしめる・たとえなどの意味がある。
人がどのような形で文字になっているか、面白いものを少しずつ紹介してみたい。卩はセツでひざまずく・しるしの意味があり、人が跪く形を表わしている。
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これは印の字で手で頭を押さえている形である。おさえる・しるし・はんの意味を持つ。
# by mteisi | 2008-09-18 22:44 | 語源で遊ぶ
五風十雨
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久し振りに昔の仕事に出会った。今作っている福岡書芸院の宣伝用の小冊子「SAI」の表紙に、1986年の「石印と書の会」のために制作した「五風十雨」使うことになった。当時は柳宗悦の民芸論に心酔していて、書表現も理解の出来ない漢詩より日常的な言葉を表現したり、理解できる漢字を書くことが書の真髄であると考えていた。篆刻も篆書を彫るだけではなく普通に読める字を彫ろうと、いろいろ彫っていた。カレンダーを作ったのが一番の傑作だったかもしれない。数字も全部手で押すので5.6部がやっとだったかもしれない。手許にあったカレンダーが見当たらなくて何月に当てていたか忘れたが、その中の一つがこの「五風十雨」。
この作品は10月にやる「KURASHIの中の美Ⅲ」でご一緒する染色と織りの中本扶佐子さんとの出会いの一作で、思い出深い作品の一つ。熊谷守一にも心底影響を受けていて、「五風十雨」の言葉も彼の作品集からもらった。書き出すと色々書くことが出てくる。
# by mteisi | 2008-09-18 00:31 | 自作の書