飛鴻堂印譜
面白いものが手に入った。
きっかけは「あまねや」の川口さん。
「面白いものがありました」と季刊「銀花」を手に
訪ねてくれた。
その中に「飛鴻堂印譜」と題し、印影と釈文が紹介されていた。
川口さんは「刻まれた文字の内容が面白いので何か参考になるのでは」と。
そしてネットでは4万円程度で売っているという事だった。
清代の印には魅力を感じないが、漢文の語句に興味が出てきたところなので、手に入れてみたいと思った。
調べてみると高いものは8万以上、一番安いもので3万5千円だった。
どんなものか本は見たことないし、
見たいのは語句と釈文の木版文字なので、
一番安いのでいいと思って千葉市川の智新堂書店から購入した。
ところが、なんとも素晴らしいものが届いた。
説明にあった木帙というのがどういうものか分からなかったが、
写真の通りの古式ゆかしき趣のあるものだった。
本はほとんどめくられてなくて美しかった。
釈文の版は何人かの彫師が刻んでいて、表情の違いが楽しめる。
今の活字にはない、書とのつながりを強く感じる。
変なものでない様にと祈る気持ちで開けてみると、
中からこの姿が。
印の語源は、跪づく人の頭を手で押さえるという形で出来ており、
印の性格上、造形を遊ぶ感覚は少なかったのではないかと思われる。
どの形も整斉として揺るぎがない。