白川静探求
白川静の文字研究は、書家にとって宝の山だ。
下手をすると宝の持ち腐れになる。
これまでの字源辞典だと意味が分からないものが多くて、
学ぶにしても、丸覚えで字形を飲み込むしかなかった。
白川さんの解釈は理路整然として、いちいち腑に落ちるし、
調べることがとても楽しい。
しかし、「
字統」だけでは難しいので
「白川静文字講話」や
「
漢字百話」などから入っていくといいかもしれない。
白川さんの著書を読んでいくうちに、効果的な方法に行き着いた、
始めは一度調べた字をまた辞典で引くのは
面倒だと思いノートに写していた。
調べた字の字形や意味そして解釈を写すようにしてみた。
記憶に残っていない字は何度も写していくうちに、
少しずつ記憶量が増えていった。
白川さんの著書は全部読んでみようと、
読み始めてから一年が経つ。
「
金文通釈」などの専門研究書はなかなか前へ進まなが、
でも、少しずつ楽しく読んでいる。
これからの書家は甲骨金文を読めないと
ダメではないかと思っている。
語源もそうだが、漢詩など漢字の世界に足を踏み入れて、
書の大きさが分かってきたようだ。
「
甲骨文の世界」を読んだ時から、分からない字は「字統」で調べながら進んだ。
「
金文の世界」は拓本の文字を鉛筆で写しながら読んでいくと、
時や空間の変化にしたがって、字形も変化していく様子を感じることが出来た。
筆で臨書して書技を高めるのもいいが、蔵鋒を使える人は
鉛筆で充分だと思う。