仮名って何
書を面白いと感じてもらいたい。
そのためには書道用語が一般化することだと思う。書道の専門的な
言葉が行き渡るには、とてつもない衝撃が必要だろう。
女性の場合、平安の流麗な仮名を学びたいと思う人は多いと思う。
しかし、流れるように書かれた書を読むのはとても難しいと思って
いる方が多いだろう。
実際、美術館で出会ってもほとんど読めない字が並んでいる。
しかし、意外と簡単なのだ。
それは、仮名だからという事。
今知っている
平仮名は「あいうえお」の四十八字。
その変体仮名を二、三個ずつ記憶して、平仮名の間に適当に入れていけば、
古典表記の仮名になる。
そして、平仮名が漢字の草書を記号化したものという知識があれば、
仮名の見通しが随分よくなる。
変体仮名は音訓両方の当て字を草書化したものと思ってよい。
主に音を当てたものが多く残っている。
例えば、「あ」は安の草書で変体仮名は「阿・悪・愛」。
「い」は以の草書で「意・移・伊」などがある。
よく出てくる文字の変体仮名の二、三個ずつでも覚えるといい。
連綿という、字と字をつなぐ線を気儘に引きながら書いていけば、
平安風の書は書けてしまうのである。
読むもの随分楽になる。
仮名を学ぶには書くよりも読む方から入る方が早いかも知れない。
文学的な楽しみも深味がますのではなかろうか。
子供たちに古典を伝えたいと思っている。その一つが変体仮名を
教えること。平安時代のものだから、言葉も分からないし字も
分からない。
だが、出会いが大切と考えた。まず出会わすこと。
読むのは難しいから、しっかり見ること伝えたい。間違った字を
書いても構わない。手直しするよりも触れさせることが大切である。
一、二年の小さな子に書かせても、大人が見逃す変化を微妙に
捉えることがある。知識なしで見るからであろう。
一度見るのと、見ないのでは、考えられない差が出てくるものだ。
真愛ちゃん五年生の「伝・藤原行成」の「針切れ」。変体仮名も少し読めるようになっている。
これからは一緒に読んでいこうと思っている。
行成の書として伝わっているが、書き手不明の書。書技的には抜群に面白い。
意思的な変化の妙がある。それを一所懸命書いている。