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2008年12月10日
会津八一

私にとって昭和の三筆は、熊谷守一、高村光太郎、会津八一の三人。
四番手に井上有一が入ってくる。

書家を四番手に押せるのは、残念ながらうれしい。
室生犀星や中川一政須田剋太、奥村土牛、前田青邨、北大路魯山人など、
魅力的な書を書いた人はあまたいる。

書家は芸術的人間臭のする書を求めないので、
時代を表現する書家がなかなか出てこない。

ちょっと前まで私にとって守一が最高であり、守一のように表現したいと思っていた。
ところが、白川静を学ぶようになって、俄然八一が面白くなってきた。
口が面白い。
最近手に入れた書簡集を読んでいて、よくも抜けぬけと、と思うものがあった。

一つは自分のように書が書けて、歌を読める人間は他にはいない、
もちろん良寛を入れても構わないと。
そしてもう一つ、王羲之のような俗調な楷書など書かない。
私は自然の造作物と殷周三代(夏・殷・周)から書を学んだ。
と、いっているのだ。

痛快なことを言う人だなと、軽く思っていたが、
白川静の「字統」と共に金文を見ていくと、
漢字の構造が今までとは違う角度から、見ることが出来てきた。
造形を工夫する上で今までの書論的工夫とは
全く違う視点を持てるようになってきた。

会津八一は語源研究を発表することはしなかったが、
自分なりに徹底的に研究したのではなかろうか。

書論の中で私は世界中の文字を見たといっていた。
これは文学も含めてのことだったのかもしれない。
by mteisi | 2008-12-11 01:07 | 歴史的な作家と書


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