井上有一「愚徹」
初和の書家として作品が残るのは、井上有一だろうと思っている。
抽象絵画に触発され、戦後の欧米文化の表現を体現しながら、書を見つめてた人だ。
生涯「貧」を書き続け34の「貧」を残している。
有一は生のエネルギーを文字に託し極限まで振り切ろうとしたのであろう。
大戦中、横川国民学校で爆弾を受け、一瞬に焼けこげてしまった多くの生が、
彼の書に計り知れない影響を及ぼしているものと思われる。
「愚徹」とどうにか読めるマグマのような墨の塊は、
何もかも捨て去ろうと、あがく姿を見るようだ。
戦後の欧米文化の自由を、謳歌してきた自分が表現できるものといったら、
それしかない。
さて、自由とはなんだろ。
by mteisi | 2009-03-14 21:57 | 歴史的な作家と書


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