隷書という書体は表情もさまざまでとても面白い。
たとえば金文・甲骨の魅力はその絵画性のもつ表情の面白さで、
結体の有りようによって面白さが増幅されることは少ない。
誰がどのように書こうとそのもっている空気はそんなに変わることはない。
ところが隷書となると結体の有りようによって千変万化する。
一般的に目にする隷書は「
曹全碑」であろう。
流美な華麗さをもち、拓本も摩滅が少なく明確さもあって初めて書く人学ばせる。
そのためでもあろう、隷書の典型として記憶されることが多い。
隷書の特徴ともいえる、横画の終わりを払う波磔も華麗にのびている。
水平で垂直に書く隷書にはのんびりとした間の抜けたものも多い。
私はそういう隷書に魅力を感じている。
以前紹介した「
三老諱字忌日記」や「
開通褒斜道刻石」など魅力的なものが多い。
これから気になる隷書をしばらく紹介してみたい。