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大巧若拙

大巧若拙
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大直若屈 
金文で彫ってみた。若は巫女が髪を振り乱した、エクスタシー状態の形。
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「大巧如拙」と記憶していたが、岩波文庫の「老子」には「大巧若拙」と書かれていた。
巧を超えた巧はまるで下手のようだ、と解釈していいと思う。
私はここを目標にずっと学んできたが、どうにも上手くいかない。
下手に見せる上手さなんて、とてもいやらしい。
素直に上手く書くことがずっと健康的だと思う。
だが、いわゆる上手い字はちっとも魅力がない。
「大巧如拙」とは如何なるものだろう。
良寛・慈雲・白隠・仙厓・米山・守一あたりの書に
それを見ている。

墨場必携で「大直若屈」に出会った。
出典は「老子」とあったので、調べてみると「大巧若拙」と同じ章にでていた。
どでかい真っ直ぐは歪んでいるようにみえる、ということだろう。
45章を全文紹介すると次のようになる。

大成若缺、其用不弊。大盈若沖、其用不窮。
大直若屈、大巧若拙、大辯若訥。
躁勝寒、静勝熱。清静為天下正。

大成は欠けたるが若(ごと)きも、其の用は弊(すた)れず。
大盈は沖(むな)しき若きも、其の用は窮(きわ)まらず。。
大直は屈(くっ)するが若く、大巧は拙(せつ)なるが若く、大辯(たいべん)は訥(とつ)なるが若し。
躁(そう)は寒に勝ち、静は熱に勝つ。清静は天下の正と為(な)る。

とても手にすることは出来そうにないが、腹に応える響きだ。
それで、二つを彫ってみた。
by mteisi | 2009-11-11 17:47 | 自作の書


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