襖絵
家が出来てすぐに落書きした。
30年くらい前。
柳宗悦に夢中だったので「心偈(こころうた)」からとって
「幸イトド ムクイ待タネバ」や「指スヤ西ヲ ドコトテ西ナル」
を書き込んでいる。
柳のいう「用の美」と書の関係をいつも眺めていた。
生活の道具として書を書く必要がなくなった今、
飾ることを目的にしながら、歴史の流れから外れない作業とは
どのようなものであろうか。
史・吏・使・事
つながりを持っている。
サイと枝と手でどれも出来ている。
史は史祭のことで、祖霊を祭る内祭をいった。
のちに祭りを行う人や記録する人を史といい、祭りの記録を史といった。
史も初めは祭祀の執行者として、最も高い地位を占めていたが
政治行政の機構が分化し巫史という祭祀を司る地位に下がった。
吏と使と事はこれに吹き流しがついている。
外に出かけていって祭祀を行うことを意味している。
河や嶽、山川の諸神を祭る時に使者が派遣された。
吏や使は祭事を行う使者のこと。
そして、使者として行う祭事のことを事といい、
もとは同じ字であったが、後に分かれていった。
史 シ・まつり・ふみ
吏 リ・つかさ・おさめる
使 シ・つかい・つかう
事 ジ・まつり・つかえる・こと