真
真はシン・まこと・うまれつき・もと
旧字は眞と書く。
ヒと県とからなる。
ヒは化の初文で死者。
県は首の倒れた形。
合わせて顚死者で
行き倒れた人のこと。
非業の死を遂げた人の怨霊は
恐るべき呪霊を持つので
これを慎みその瞋(いかり)を
鎮めたのである。
眞は経籍にはほとんどなく
「老子」「荘子」に初めて出てくる。
「眞人ありて、而(しか)るのち眞知あり」と
存在の根源、その根源に達したものの
意にもちいられた。
宗教者の立場で得られたもので、
荘子学派は古い司祭者の伝承の上に
立つものであろう。
白川静は
荘子が眞を「真宰」「真君」のように
人格的なよびかたをしながら、
特定の信仰対象を設けなかったところに、
中国の思想の根底にある現実的性格を
認めることができるといい、
真は中国の古代思想が達しえた、
最もすぐれた理念の一つである。
という。
ところが、のち道教の徒によって
著しく世俗的なものになったともいう。
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