アフリカに限らず世界中で作られている布の中には、とても美しい物が多い。日本の絣や能衣装もそうだろう。暮らしぶりが反映されてその味わいもさまざまに楽しい。
そしてこの赤い布のアップリケ。深みのある赤い色が惹きつけるが、文様にまたくぎ付けにされてしまう。神の伝承を伝えているのだろうか。張り付けている文様は文字であると言われている。解らなくなってしまった文字ほど好奇心を触発される。それにしてもこの文様の野放図な置き方はどうしたことだろう。これがアフリカの原初の美意識だろうか。よく見ると仕事ぶりは実に緻密なのだが、その細やかさはかけらも感じない。そこに悠々とした時の流れを感じてしまう。すごい大変なことが起きているのだが、黙々と暮らす日々があるのだろう。深く燃える赤い色と文様が生まれた太古の大地がある。