述志
　大津皇子

天紙風筆画雲鶴
山機霜杼織葉錦
　後人の聯句
赤雀含書時不至
潜竜勿用未安寝

志を述ぶ
　大津皇子

天紙風筆　雲鶴を画き
山機霜杼　葉錦を織る
　後人の聯句
赤雀　書を含んで　時に至らず
潜竜　用ゐることなく　いまだ安寝せず

大空の紙に風の筆勢で雲翔ける鶴を描き
山姿の機に霜の飛び杼で紅葉の錦を織る
　(このような壮大華麗な詩文を作りたいものだ)
書をくわえた赤雀は飛んでこない
潛竜は時をせず寝りにも就きえない