詠孤松
大納言直大二中臣朝臣大島
隴上孤松翠
凌雲心本明
餘根堅厚地
貞質指高天
弱枝異蓂草
茂葉同桂栄
孫楚高貞節
隠居悦笠軽
孤松を詠ず
大納言直大二中臣朝臣大島
隴上 孤松翠に
凌雲 心もと明らかなり
餘根 厚地を堅め
貞質 高天を指(ゆびさ)す
弱枝 蓂草に異にし
茂葉 桂栄に同じ
孫楚 貞節を高うし
隠居 笠の軽きを悦ぶ
丘の上の松の一樹は緑あざやかに
高く秀でた姿は高潔である
根は大地をがっしと抑え
節操はひとり高く天を目指している
枝は細くても蓂草とは異なり
葉は茂り桂樹の栄えそのもの
孫楚は松の貞節だが
隠棲する身に破笠の趣が気に入りだ
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