
詠雪
文武天皇
雲羅囊珠起
雪花含彩新
林中若柳絮
梁上似歌塵
代火輝霄篆
逐風𢌞洛浜
園裏看花李
冬条尚帯春
雪を詠ず
文武天皇
雲羅 珠を囊(つつ)みて起り
雪花 彩を含んで新たなり
林中 柳絮のごとく
梁上 歌塵に似たり
火に代りて霄篆(せうてん)に似たり
逐風 洛浜に𢌞り
園裏 花李を看れば
冬条 なお春をお帯びる
薄絹のような雲は雪を包んで空に広がり
花のような雪は色どりも新鮮な感じ
林に降る雪は柳の綿が飛ぶかのように
梁に乱れ散る雪は歌に舞う塵のようである
雪は太陽に代わって夜の書物の燈りとなり
風に流れるさまは洛水神女そのままの艶
庭のすももの木を見ると
冬枯れの枝に積もった雪は春の花そのものだ
<< 村
古今和歌集700 >>
|
|