春日応詔
大宰大弐従四位上巨勢朝臣多益須
玉管吐陽気
春色啓禁園
望山智趣広
臨水仁懐敦
松風催雅曲
鶯哢添談論
今日良酔徳
誰言湛露恩
玉管 陽気を吐き
春色 禁園を啓(ひら)き
山を望んで智趣広く
水に臨んで仁懐敦し
松風 雅曲を催し
鶯哢 談論を添ふ
今日まことに徳に酔ふ
たれかいわむ湛露の恩
玉の笛は陽気に朗らかになり
春の気は御苑に満ちている
山を望みみると智者の情報で広々と
水を見下すと仁者の感懐ひときわ
松吹く風は高雅な曲をかなで
囀るうぐいすは談論の興を添える
今日天子の高徳に酔うた深い感激を
なんで月並みなことばで讃ええよう
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