懐風藻33
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七夕
 贈正一位太政大臣藤原朝臣史

雲衣両観夕 月鏡一逢秋 機下非曾故 梭息是威猷
鳳蓋随風転 鵲影逐波浮 面前開短楽 別後悲長愁

七夕

雲衣両たび夕を観 月鏡一たび秋に逢ふ 機を下るは曾の故にあらず 梭を息やむるはこれ威猷
鳳蓋風に随ひて転じ 鵲影波に逐うて浮かぶ 面前短楽を開き 別後長愁悲しむ

雲なびく再会の七月七日、月白くめぐり会う秋の一夜。機をおりるは曾子のことではなく、機の手をやめたのは威猷の思いそのもの。織女の車の飾りが風のまにまに翻る。鵲のかけた橋は波にゆられて浮いている。二人はつかの間の逢瀬を楽しむものの、一夜の別れから再び長い嘆きにとざされる。
by mteisi | 2013-02-17 06:46 | 懐風藻


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