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懐風藻36
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36
従駕応詔
 皇太子学士従五位下伊予部馬養

帝尭叶仁智 山蹕玩山川 畳嶺杳不極 驚波断復連
雨晴雲巻羅 霧尽嶺舒蓮 舞庭落夏槿 歌林驚秋蝉
仙槎泛栄光 鳳笙帯祥煙 豈独瑤池上 方唱白雲天

駕に従ふ詔に応ず
 
帝尭仁智に叶ひ 山蹕山川を玩ぶ 畳嶺杳として極らず 驚波断えてまた連なる
雨晴れて雲羅を巻き 霧尽きて嶺蓮を舒ぶ 庭に舞うて夏槿を落し 林に歌うて秋蝉を驚かす
仙槎栄光を泛べ 鳳笙祥煙を帯ぶ あにひとり瑤池の上のみならんや まさに唱ふ白雲の天

天子の仁智は尭皇帝のようであり、お車を召されて山川の勝景を遊覧される。重なる山の峰は遙かにつづき、荒波は流れたと思うとまた襲い来る。雨はやみ雲は羅を巻くように消え、霧ははれて嶺々は蓮の花が開いたよう。庭には槿の花が舞い落ち、林では秋の蝉の声で驚かされる。天子の船は瑞光につつまれ、笙の音はめでたく吹きなびく。瑤池での御宴もすばらしかったろう、だがそれにも勝る白雲の歌を歌おう。
by mteisi | 2013-02-20 18:07 | 懐風藻


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