春日侍宴 応詔
正五位上近江守采女朝臣比良夫
論道与唐儕 語徳共虞隣 冠周埋尸愛 駕殷解網仁
淑景蒼天麗 嘉気碧空陳 葉緑園柳月 花紅山桜春
雲間頌皇沢 日下沐芳塵 宜献南山寿 千秋衛北辰
春日侍宴 応詔
道を論ずれば唐と儕(ひと)しく 徳を語れば虞と隣(なら)ぶ 周の尸を埋む愛に冠し 殷の網を解く仁に駕す
淑景蒼天麗はしく 嘉気碧空に陳(つら)なる 葉は緑なり園柳の月 花は紅なり山桜の春
雲間皇沢を頌し 日下芳塵に沐す 宜しく南山の寿に献じて 千秋北辰を衛るべし
政道について論ずると唐尭にひとしく、人徳について語ると舜帝と方を並べる。周の文王が尸体を葬った愛をも越えて輝き、殷の湯王網目お解かせた仁をも凌駕する。春の和気があふれて大空は麗しく、めでたき気は大気に満ち満ちている。月にうたれた庭に柳は緑あざやかに、日に映えた山の桜は咲き匂っている。おそばに仕えて皇恩を寿ぎ奉り、天子の膝下で広大な聖恩に浴している。聖寿の万歳をお祝い申し、永久に天子をお守りいたすべきである。