秋宴
正五位下肥後守道公首名(みちのくびおびとな)
望苑商気艶 鳳池秋水清 晩燕吟風還 新雁払露驚
昔聞壕梁論 今弁遊魚情 芳筵此僚友 追節結雅声
秋宴
望苑商気艶かに 鳳池秋水清し 晩燕風に吟じて還り 新雁露を払うて驚く
昔は壕梁の論を聞き 今は遊魚の情を弁ず 芳筵この僚友 節を追うて雅声を結ぶ
望苑の苑地に秋の気は麗しく、鳳凰の池には秋の水が澄みとおっている。帰りおくれた燕は秋風の中を鳴いて帰り、新米の雁は露の深さに眠りをさます。昔、荘子が橋の上で遊魚の楽しみを論じたが、今私は鳳池で魚の心情を味わっている。文雅の席上で同好の友たちと、楽の調べのままに歌声をあげている。