懐風藻56
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七夕
 従五位下出雲介吉智首(きちのおびと)

冉々逝不留 時節忽驚秋 菊風披夕霧 桂月照蘭洲
仙車渡鵲橋 神駕越清流 天庭陳相喜 華閣釈離愁 
河横天欲曙 更歎後期悠

七夕

冉々逝いて留まらず 時節たちまち秋に驚く 菊風夕霧を披き 桂月蘭洲を照らす
仙車鵲橋を渡り 神駕清流を越ゆ 天庭相喜を陳べ 華閣離愁を釈く 
河横たはって天曙けんと欲す さらに後期の悠かなることを歎ず

月日は過ぎ去ってとまらない。時節ははや秋かとおどろく。秋風が夕もやを吹きはらい、秋の月は蘭の香る島を照らしている。織姫の仙車は鵲の橋を渡り、織姫の神輿は清い流れをこえていく。天の庭園で牽牛と恋の喜びをかわし、花の高楼で離別の愁いをはらしている。天の川のゆるやかな流れも曙光に淡く、二人は再び逢う夜の遠いのを歎いている。
by mteisi | 2013-03-21 20:03 | 懐風藻


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