
春日侍宴
主税頭従五位下黄文連備(きぶみのむらじそなふ)
玉殿風光暮 金■春色深 雕雲遏歌響 流水散鳴琴 (■は土偏に犀)
燭花粉壁外 星燦翠烟心 欣逢則聖日 束帯仰韶音
春日宴に侍す
玉殿風光暮れ 金■春色深し 雕雲歌響にとどまり 流水鳴琴に散る
燭は花やかなり粉壁の外 星な燦らかなり翠烟の心 欣逢聖は則る日に逢うを欣び 束帯して韶音を仰ぐ
宮殿に夕闇がせまる。御苑は春たけなわである、妙なる歌声に瑞雲も空にとどまり、奏でる琴の音に流水はほとばしり散る。燭火に映えて白壁は浮きたち、またたく星は緑のもやのなかに。聖者の治世にあたっことを欣び、威儀を正して玉声を拝聴申している。