上巳禊飲
従五位下大学助背奈王行文
皇慈被万国 帝道沾群生 竹葉禊庭満 桃花曲浦軽
雲浮天裏麗 樹茂苑中栄 自顧試庸短 何能継叡情
上巳禊飲
皇慈万国に被り 帝道群生を沾す 竹葉禊庭に満ち 桃花曲浦に軽し
雲浮かんで天裏麗しく 樹茂って苑中栄ゆ 自ら顧みて庸短を試む なんぞよく叡情を継がん
天子の慈恩は天下にあまねく。天子の聖道は万民に及んでいる。清らかな酒、竹葉は禊の庭に満ち、美しい桃の花は渚に散っている。めでたい雲がたちこめて空は麗しく、青あおと樹が茂って庭面はみずみずしい。菲才と知りながらも拙い詩を試みたが、これでは到底聖慮に副い申しえない。