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於宝宅宴新羅客
長屋王
高旻開袁照 遙嶺靄浮烟 有愛金蘭賞 無疲風月筵
桂山餘景下 菊浦落霞鮮 莫謂滄波隔 長為壮思篇
宝宅において新羅の客を宴す
高旻袁照を開き 遙嶺浮烟靄たり 金蘭の賞を愛するあり 風月の筵に疲るることなし
桂山餘景の下 菊浦落霞鮮かなり 謂ふことなかれ滄波隔たると 長くなさむ壮思の篇
秋空は遠くすみわたり、遙かな山の峰に霞がたなびいている。同心の友と賞美の宴をひらき、
風月を眺めて疲れを知らない。桂の山の残照もあわくなり、菊の水辺は夕焼けが鮮やかである。謂ってくれるな、海山を遠く隔たると。長く壮思の心を詩に詠おうから。