懐風藻91
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悲不遇
 正三位式部卿藤原宇合

賢者悽年暮 明君冀日新 周占載逸老 殷夢得伊人
博挙非同翼 相忘不異鱗 南冠労楚奏 北節倦胡塵
学類東方朔 年餘朱買臣 二毛雖已富 万巻徒然貧

不遇を悲しむ
 
賢者年の暮るるを悽み 明君日に新たなるを冀ふ 周占逸老を載せ 殷夢伊人を得たり
博挙翼を同じうするにあらず 相忘鱗を異にせず 南冠楚奏を労し 北節胡塵に倦む
学な東方朔に類し 年は朱買臣に餘れり 二毛すでに富めりといへども 万巻徒然として貧し

賢人は年の暮れるのを悲しみ、明君は徳の日々新たなことをねがう。周の文王は占いによってすぐれた老人をえて帰り、殷の髙宗は夢占によってすぐれた賢人を手に入れた。羽搏(はばた)いても同じように揚れるものではない。世に忘れられるのは魚族と同じである。鍾儀は晋に囚われても自国の歌を唱いつづけた。蘇武は匈奴に抑留されたが漢節を持しつづけた。学問の広さは東方朔に類していよう。齢はすでに朱買臣の年を越える。白髪まじりの頭になったいま、万巻の書を抱きながら貧乏に追われている。
by mteisi | 2013-05-01 08:22 | 懐風藻


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