幽棲
隠士民黒人
試出囂塵処 追尋仙桂叢 巌谿無俗事 山路有樵童
泉石行々異 風烟処々同 欲知山人楽 松下有清風
幽棲
試みに囂塵の処を出でて 仙桂の叢を追尋す 巌谿俗事なく 山路樵童あり
泉石行々異り 風烟処々同じ 山人の楽しみを知らんと欲せば 松下清風あり
たまたまかしましい俗世を脱れ出、桂の茂る幽棲の地を探し求めえた。深い谷間には世俗の煩いなく、山路では木樵の子供にあうぐらい。泉や岩は一歩ごとに景色が変わるが。風や露はどこも変わらぬ趣がある。山に住む人の楽しみを問うのなら、まつの下枝(しずえ)に吹く清風というだけだ。