懐風藻113
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贈旧識
 従三位中納言兼中務卿石上朝臣乙麻呂

万里風塵別 三冬蘭蕙衰 霜花逾入鬢 寒気益顰眉
夕鴛迷霧裏 暁雁苦雲垂 開衿期不識 呑恨独傷悲

旧識に贈る
 
万里風塵別なり 三冬蘭蕙衰ふ 霜花いよいよ鬢に入り 寒気ますます眉を顰む
夕鴛霧裏に迷ひ 暁雁雲の垂るることを苦しむ 衿を開いて期すれど識らず 恨を呑んでひとり傷悲す

都を遠くはなれてそれぞれの生活、季冬香草もしぼんでさびしい。鬢には白毛がふえ、寒気は凌ぎにくくなっている。夕もやの池に鴛鴦は遠く行き迷い、明け方の雲に雁金は飛びなずむ。胸を開いて語ろうにも心中を知る友はいない。恨みをのんびりひとり傷み悲しむばかりである。
by mteisi | 2013-05-25 07:43 | 懐風藻


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