罷相作
李適之
避賢初罷相 楽聖且銜杯 爲問門前客 今朝幾箇來
相を罷めて作る
李適之 りてきし
賢を避けて初に相を罷め 聖を楽しんで且つ杯を銜む 爲に問ふ門前の客 今朝幾箇か來る
自分がいつまでもがんばっていては後進の邪魔になるから、賢人の進む路を避けるために宰相をやめた。そしてのんびりと酒杯を口にして、隠しことばでいえば聖人の道をたのしむという気持ちで、つまり清酒の醇なやつを存分に頂戴しようというわけ。それはそうとして、さてちょっと訊くが、玄関をおとないお客さんは、今朝は何人来たかい。急にひっそり閑としてしまったね。