九日陪元魯山登北城留別
蕭穎士
綿連ち(嗤の口が氵)川迥 杳渺鴉路深 彭澤興不淺 臨風動歸心
九日元魯山に陪して北城に登りて留別す
蕭穎士 せうえいし
綿連としてチ川迥(はるか)なり 杳渺として鴉路深し 彭澤興淺からず 風に臨んで歸心を動かす
今日は重陽の佳節で、魯山縣令の祝宴に陪席して、北の城壁に登って眺めると、チ川の流れがうねうねと遠くつづいており、鴉路のみちすじは、はるばると奥深く地平線へ分け入っている。今の世の陶淵明ともいうべき元君は、この佳節に高いところに登って、いかにも興深げに見受けられる。そして風に吹かれて、しきりにお国へ帰りたいご心境に名っておいでのようすだ。これも陶淵明が帰去来辞を作って彭澤縣令を辞任した心境にさも似た、すがすがしさではないか。