秋日湖上
薛瑩
落日五湖遊 煙波處處愁 浮沈千古事 誰與問東流
秋日湖上 しゆうじつこじよう
薛瑩 せつえい
落日五湖に遊ぶ 煙波處處愁ふ 浮沈千古の事 誰かよく東流に問わん
入り日に照らされて、太湖に舟をうかべていると、夕もやのたちこめた波の色には、いたるところで、果てしないうれいがただようている。人の世の浮き沈みを告げる幾千年もの出来事が、この湖水を中心として展開したのではないか。しかしいっさい忘却のうちに消え去って、昔の人はひとりもいない。昔のことを知っているらしいのは、東流の水ばかり。いったい、誰がそれに問いかけることができるのか。