九月九日憶山東兄弟
王維
獨在異郷爲異客 毎逢佳節倍思親 遙知兄弟登髙處 遍挿茱茰少一人
九月九日山東の兄弟を憶ふ
王維 わうゐ
獨り異郷に在って異客と爲る 佳節に逢ふ毎に倍々親を思ふ 遙に知る兄弟の髙きに登る處 遍く茱茰を挿んで一人を少かん
たったひとり他郷にでて、旅の身の上。めでたい節句にあうたびに、ますます身内の人々のことを思わずにはいられない。遠くからハッキリわかることは、兄弟が高いところに登って、みんな愉しく茱茰の枝をはさんでお祝いしているすがた、しかし、兄弟の一人だけが、つまりわたしだけが、そこにいないということ。それがまざまざと目に見えるようだ。