寄韓鵬
李頎
爲政心閒物自閒 朝看飛鳥暮飛還 寄書河上神明宰 羨爾城頭姑射山
韓鵬に寄す
李頎 りき
政えお爲して心閒なれば物自ら閒なり 朝に看る飛鳥暮に飛び還る 書を寄す河上の神明の宰 羨む爾が城頭の姑射の山
政治をおこなうのに、心が閑静であれば、万事は自然に静かに治まってゆく。朝、飛び立ってゆく鳥が、夕方になれば自然におのが巣に帰ってくるように。すべて平和なすがただ。河のほとりの地にあって、神のように明らかな知性をそなえた長官と呼ばれる君に、ここに手紙を書きおくる。それはほかでもない、君のおさめる町の近くに有名な姑射山という仙人があるが、そこにいたという古の仙人のように、無為恬淡な境地に君も達していられるだろう。じつに羨ましいかぎりだということをね。