和李秀才邊庭四時怨
盧弼
八月霜飛柳遍黄 篷根吹斷雁南翔 隴頭流水關山月 泣上隴堆望故(脱字)郷
李秀才が邊庭四時怨に和す
盧弼
八月霜飛んで柳遍く黄なり 篷根吹き斷たれて雁南に翔る 隴頭の流水關山の月 泣いて隴堆に上って故郷を望む
陰暦八月、秋の気が深く、この辺地では早霜が空中を飛んで、柳の葉は、すっかり黄ばんでしまった。蓬は根まで不起ちぎられて舞い上がり、雁がつぎつぎに南の空へ飛んで行く。隴山の分水嶺に湧き出る水は、一つは東へ、遙かな故郷へ向かって流れてゆき、一つは遠い西へ、えびすの國へ向かって流れゆく。自分は、その西へ流れる水と一緒に果て知らず出てゆくのだ。関所の山々を照らす月だけはついてくる。もうどれほど歩きつづけて来たことだろう。うわさに聞いた龍堆という沙漠のなかの小高い丘までやって来た。泣きながら龍堆に登って、また故郷の方角を眺めるのだった。