夜讀范至能攬轡録、言中原父老、見使者多揮涕、感其事、作絶句
陸游
公卿有黨排宗澤 帷幄無人用岳飛 遺老不應知此恨 亦逢漢節解沾衣
夜に范至能の「攬轡録」を讀むに、中原の父老、使者を見て多く涕を揮ふと言う、其の事に感じて、絶句を作る。
陸游
公卿黨有り宗澤を排し 帷幄人の岳飛を用ふるもの無し 遺老應
此の恨らみを知るべからざるも 亦漢節に逢へば衣を沾すを解す
朝廷の高官の間には派閥があって、宗沢を排斥した。そして参謀本部には、岳飛を働かせようとする人物がなかった。中原に住む北宋の遺民たちは、こういう残念な事情を知るはずもないのだが、それでもかれらは、中国の使者が持つ旗印に出会えば、涙で着物をぬらすほどの気持ちを持っているのだ。