春日雜興
陸游
夜夜燃薪煖絮衾 禺中一飯直千金 身爲野老已無責 路有流民終動心
春日雜興
陸游
夜夜薪を燃せば絮衾よりも煖かなり 禺中の一飯直千金 身は野老と爲りて已に責無きも 路に流民有り終に心を動かす
ふとんも買う金もない暮らしだが、夜ごとに薪を燃やしているので、綿入りのふとんよりも暖かいくらいだ。昼どきが近づくとありつける一杯の飯、これは千両の値うちがある。私は田舎に埋もれて生きる老いぼれの身、天下国家に対する責任はもはやないわけだが、それでも道路に流浪する民衆がいると聞けば、どうしても心を動かさずにはいられないのだ。