
和文與可洋川園池三十首 横湖
蘇東坡
貧看翠蓋擁紅粧 不覺湖邊一夜霜 巻却天機雲錦段 從敎匹練寫秋光
文與可の洋川園池三十首に和す 横湖
蘇東坡
翠蓋の紅粧を擁するを貧り看て 覺えず湖邊一夜の霜 天機の雲錦段を巻却して 匹練をして秋光を寫さ敎むるに從せよ
あなたは、みどりの笠をさしかけてもらって立つ、紅化粧した美人を貪り見ていて、思わず湖のほとりに立ちつくして一夜を明かしてしまい、霜のおりるのにも気づかれないことだろう。天工の織り成せる雲溪・錦溪の産なる緞子の巻きおさめられたあとは、一匹のねりぎぬに思う存分、秋の陽光を写すにまかせておられるがよい。